相続人のなかに認知症の親がいる。この場合の相続の手続きについては少し注意が必要だ。
お父さんが亡くなり,お母さんと子供たちでお父さんの遺産を分けるということは普通に起きうる。そのとき,お母さんがしっかりしていれば,みんなで話し合って遺産を分ければよい。
問題になるのは,お母さんが認知症の場合だ。このことを考慮しないで遺産分割を行ってしまったとする。残念ながら,この遺産分割協議書は無効である。遺産分割協議にしたがってたとえ分けたとしても,またいちから遺産分割をやり直さなければならない。
どうしたらよいのか。
面倒だがこの場合は法定後見制度を利用しなければならない。先ほどの例であれば,子供がお母さんの法定後見開始の審判を申し立てる必要がある。
ここで一つ注意が必要。法定後見人として子供がなる場合には,遺産分割協議においては母親を代理することはできない。家庭裁判所に特別代理人の選任申し立てをする。法定後見人と成年被後見人(本人)の利益が相反する場合には特別代理人が必要になる。
相続人のなかに認知症の親がいる場合は以上のような配慮が必要。ほかにも,総則人のなかに知的障がい,精神障がい,未成年者の子,行方不明者がいる場合も特別代理人,不在財産管理人の選任を家庭裁判所に申し立てなければならない決まりだ。
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