共同墓への納骨
平成24年6月10日の読売新聞の記事に「シングル女性向け共同墓、注目集める…府中ふれあいパーク」という記事が掲載された。
http://www.yomiuri.co.jp/komachi/news/20120610-OYT8T00342.htm
自分の納骨先を予約して,仲間と一緒の墓に納骨されたいと望むシングル女性が増えているという記事です。
一緒の墓に納骨される仲間を「墓友」というらしい。この記事によると最近のシングルの女性は「墓友」を求める傾向があるとしています。
遺言事項と付言事項
この記事を読みながらふと疑問が湧いてきました。自分が亡くなったあと焼骨の納骨先を遺言にして残すことが可能なのでしょうか。
民法には遺言することができることが決められています。それ以外のことを遺言してもかまいませんが,遺族の人はそれに従う必要はありません。遺言として遺族の者が従わなければいけないものを遺言事項,それ以外を付言事項として区別します。
付言事項はなくなった方の意思に遺族が法的に拘束されないといいましたが,通常は亡くなった本人のたっての希望であるからということで遺族がその意思を尊重するのが普通です。
納骨先について遺言することができるか
残念ながら,遺骨の収蔵先について遺言できる事項には入っていません。そうしますとこの記事の共同墓がどういう風な運営がされているかははっきりしませんが,本人が「墓友」と一緒のところに納骨されたいと希望しても,その希望がかなえられないことも考えられます。
遺骨は誰のものか
遺骨の帰属先についてはいくつかの見解があるようです。
1相続人に帰属する。
2祭祀承継者に帰属する
3死亡した者の一番近い近親者で喪主に帰属する。
などがあります。
祭祀承継者とは
祭祀承継者は相続人である必要はありません。祭祀承継者は遺言によって指定することができます。遺言がなかったときは慣習に従って決まります。慣習がはっきりしないときには家庭裁判所が決めることになっています。
墓友との共同墓への納骨を目指して
このように見てきますと「墓友」と同じ墓に入りたいという希望がかなえられないという悲しい結果になることも考えられます。
「墓友」と同じ墓にと強く望むのであれば,「祭祀承継者」を遺言で指定する。そのうえで,「付言事項」において「墓友の共同墓」に納骨されることを望むという希望を付言しておくことをお勧めします。
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