前回の続きです。
遺留分減殺請求,相続放棄,遺産分割との関係についてすこし補足します。
(1)遺留分減殺請求との関係
相続時精算課税制度の適用を受けて貰った財産は遺留分減殺請求の対象になります。生前の贈与は特別受益にあたります。自分の最低の取り分(遺留分)がないといって他の相続人が文句を言ってくる可能性があります。
(2)相続放棄との関係
相続時精算課税制度の適用を受けて,親の財産を生前に分けて貰っていたとき,親の借金が多額であるといって相続を放棄できるのでしょうか。
相続放棄は可能です。相続時精算課税制度の適用を受けてはいますが,財産はその時点で贈与されています。貰った財産の所有者は当然貰った者のものです。単に,税金を相続時に精算するというだけのことです。
相続放棄はできますが,相続時精算課税制度の適用を受けて貰った財産分の相続税の支払いはしなければなりません。
(3)遺産分割との関係
相続時精算課税制度の利用は単独では,遺産分割についてそれほど大きな効果は望めないかもしれません。
次の三つの対策を同時に実施することによって,相続の争いの少ない円満な財産分与が可能になるのではないでしょうか。
①遺留分の放棄
②相続時精算課税制度を利用しての遺留分放棄者への生前贈与
③遺言の作成
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