田舎ではよくあるのですが,妻のお父さん名義の土地に夫婦が共有で家を建て,地代の支払いなしで住んでいるという若夫婦は多いのです。(逆に夫のお父さん所有の土地という場合も多くあります)。
こうした状況のなか,土地の所有者であるお父さんより前にその娘である妻が亡くなった場合に,夫は建物を片付けてその土地をお父さんに明け渡さなければいけないのでしょうか。
(1)民法の規定
民法によりますと借主(妻)が亡くなったときには借りた物を返さなければいけないと規定しています。ただで借りることを使用貸借と呼び,使用貸借は借主の死亡によって終了します。
取り上げたこの場合では娘がただで借りていた土地は娘の死亡によってお父さんに返す必要があるということになります。
(2)裁判所の解釈
「借主の死亡による使用貸借の終了」の規定は任意規定であるため,裁判所によって実際の契約内容はこういうつもりだったのだろうという合理的な意思解釈をおこなっています。地裁,高裁レベルにおいては使用貸借の権利は相続されるという判決も出ています。
(3)対策
とはいえ,「借主の死亡による使用貸借の終了」と判断される恐れはぬぐえません。そこで次のような対策を検討することをお勧めします。
①定期借地権などの契約を父と娘の間で結ぶ
定期借地権をまずあげたのは,定期借地権の契約では権利金のやりとりがなくても贈与税の課税はない。普通借地権では権利金のやりとりがない場合その分が贈与されたと判断されかねないという事情からです。地代の支払をしなければなりませんが,妻が先に亡くなった場合の保険料だとあきらめるしかありません。
②相続時精算課税制度を使い土地をを父親から娘に生前贈与
相続時精算課税制度を利用して土地を娘から生前に贈与することによって,2500万円までの土地であれば,さしあたって出費(課税)なしで娘に譲ることができます。こうすれば家の建っている土地は晴れて妻のものとなります。地代の心配もありません。
もし妻が亡くなれば夫は胸を張ってその土地と家の妻の共有分を相続できます。
相続時精算課税についての参考
前回,前々回のブログ「相続時精算課税制度とは,なにもの」
http://jin.pecori.jp/jinguuji/2014/03/27/blog-17/
http://jin.pecori.jp/jinguuji/2014/03/28/blog-18/
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神宮司公三 (金曜日, 21 11月 2014 08:10)
返事が遅くなってしまいました。遺言がなく法定相続人は兄と弟の二人だけという前提でお話をいたします。
妹が生前に贈与を受けた場合は,特別受益に該当します。そのときには,この土地を含めてその他の財産と合算して,それを相続財産と考えて,遺産分割をおこないます。
とはいえ,妹はすでに贈与を受けた土地については相続分をたとえ超えていても返す必要はないと決められています。
したがって,兄は残りの土地以外の財産だけを相続することになります。ただし,残りの土地以外の財産が兄の遺留分である4分の1以下のときには4分の1までの額について遺留分として請求することは可能です。
山崎 優 (水曜日, 19 11月 2014 16:04)
(続き)
兄は妹に遺産総額の50%わ自分のものとするよう、額の調整を請求することができるのでしょうか?
山崎 優 (水曜日, 19 11月 2014 16:01)
この事例で土地の贈与を受けた娘に兄が居て、すの兄は贈与を受けていなかって、父が死んだときに未贈与の遺産が2,500万円に満たない場合、相続人がこの兄妹だけとすると