7年前、愛知県内で認知症の91歳の男性が電車にはねられて死亡した事故を巡り、JR側が損害が発生したとして遺族に賠償を求めた裁判で、2審の名古屋高等裁判所は1審で認定された男性の長男の責任は認めなかったものの、男性の妻に対しては「夫を監督する義務があるのに十分ではなかった」と判断し、およそ360万円の支払いを命じました。
認知症で電車事故 妻に賠償命令 NHKニュース
名古屋地裁の判決が出たときに「
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そのときに,監督義務者の責任の追及について,法律の視点は別として次の三点が釈然としないと述べました。
(1)在宅での介護の流れに逆行
(2)介護を自分でしたいという子の気持ちを責められるものとして評価
(3)自殺者の家族と介護をしていた家族の責任のアンバラン
今回の名古屋高等裁判所の判決についても地裁判決と同様な感想を持たざるを得ませんでした。
控訴審では長男の責任については認めなかったのですが,妻の看護責任は認めています。介護にかかわった者ほど重い責任を負わされ,自己の財産を持って賠償ということにもなりかねません。一方,介護に積極的にかかわらなかった家族は相続放棄をするだけで,賠償の責任を追及されることはありません。
介護保険制度が在宅介護に大きく舵を切ろうとしています。しかし,介護に深く関わればかかわったほど,監督義務者としての賠償責任が重くなるというのでは,誰も在宅看護を引き受ける気にはなれません。
裁判の行方はともかくとして,賠償保険の導入を検討するなどの手当が必要だと強く感じます。
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