1.養子をとることの要件
養子をとることは簡単にできます。
①養親になる人が成人であること。
②養子にする人が年長者・尊属ではない人であること。
成人の人が尊属でない人で自分より年下の人を養子にすることができるわけです。自分の実弟を養子とすることもできます。独身者でも養親になれます。
尊属とは血族のうち,自分の世代より前の世代の人を言います。父母・祖父母,おじ・おばなどです。
2.養子縁組を結ぶ目的
その目的として
①「家(家系)」のための養子縁組
②夫婦のための養子縁組
③子のための養子縁組
があげられることが多いです。
しかし実際の養子縁組の目的は多種多様で,上記3つの分類からはみ出してしまうものもみられます。
現在の民法の養子制度は「ぬえ」のような存在といえるかもしれません。
3.養子縁組がおこなわれるさまざま目的
上記3つの分類からは見出すような養子縁組を列挙してみます。
- 家業の労働力として養子を迎えることがあります。農作業をする人手を確保するために養子を取るなどということが旧来おこなわれてきましたが,現在は中小企業などにこうした養子縁組が見られると言います。
- 相続税額を減らすために養子縁組をおこないます。法定相続人数によって基礎控除が多くなる税法上の規定を利用しようとしての縁組です。
- 事業を引き継がせるために後継者を養子にします。特に,自分の子が後を継がない場合にこうした養子縁組が利用されます。
- 子がない兄が弟に事業を譲るためにも利用されます。たとえ兄が独身であっても弟を養子とすることはできます。
- 同居している同性愛のパートナー同士が養子縁組をすることもあります。養子にすることで養親の財産を養子に残したり,賃貸借住宅を継続して利用できる権利をえさせ,立ち退きを防いだりする目的があります。日本では同性婚の結婚が認められて異な事にキイインします。
- 戸籍上の妻がいるが,妻以外の女性と内縁関係があるとき,養子とすることで男性の財産を相続させることを目的とする養子縁組です。
- 養子縁組をおこない,子がその氏を変えることによって過去の履歴を消し去ろうともくろんで養子縁組をすることもあります。消費者金融の不良債務者の履歴を糊塗しようとする養子縁組です。一時期話題になりました。
- その他
4.まとめ
なかには犯罪を目的とした養子縁組がなされることがあります。こうしたことが起きるのは現在の養子縁組制度の要件が緩やかであると同時に,養子縁組を解消する離縁もまた緩やかである点にあるのだと思います。同時に,いろいろな思いを養子縁組を通じて実現できる制度でもあります。
055-251-3962 090-2164-7028
困り事や相続・遺言のご相談,許認可のお問い合わせは