改葬の手続きを進める際、どうしても必要となるのが「改葬許可申請書」に引っ越し元の墓の管理者(宗教法人)の署名・捺印(なついん)をすることだ。ほんの一部ではあろうが、「金を払わなければ判を押さない」とする寺がある。 引用元: お墓の引っ越し 高額な「離檀料」 トラブルも+(1/4ページ) - MSN産経ニュース.
墓の引っ越し(改葬)時に,元の寺から「離壇料」として1250万円を請求されたという記事を読みました。 そこで,改葬の許可をえないでお墓を引っ越す(改葬)ができないかを検討してみました。
1.改葬の一般的流れ
①新しい墓地を決めます。
②改葬許可申請書をつくります。そのとき,改葬許可申請書の所定の欄に現在のお寺から「埋蔵証明」をもらいます。
③「改葬許可申請書」を提出し、「改葬許可証」を受け取ります。
④遺骨を取り出します。「改葬許可書」を提示します。
⑤引っ越し先の墓地に遺骨を納めます。「改葬許可書」を提出します。 詳細について興味がある方は,横浜市港南区のホームページのアドレスを掲載しておきますので,ご覧ください。 http://www.city.yokohama.lg.jp/konan/koseki/botiiten.html
2.改葬許可が不要な場合
お墓の引っ越しには,つねに改葬許可が必要かと言えば,そうではありません。次に掲げる場合には改葬許可は不要です。
つまり,改葬というのは遺体・遺骨を他の墓地に移すことを言います。したがって,遺体・遺骨の移動をともなわないお墓の引っ越しは改葬の許可は不要なのです。(墓地、埋葬等に関する法律2条3項,5条)改葬許可が必要ない場合
(http://www.city.maizuru.kyoto.jp/modules/shiminp/index.php?content_id=33 舞鶴市HP)
- 分骨するとき…墓地(納骨堂)の管理者が交付する証明書で納骨できます。
- 土葬の場合などで、既にご遺骨が土に返っているとき…ただし、改葬の許可はお墓を掘り返す前に必要です。ご遺骨が残っている可能性があるときは、事前に改葬の許可を受けてください。
- 火葬後、自宅に保管していたご遺骨を墓地(納骨堂)に移動するとき…「火葬許可証」で納骨できます。
- 土葬した死体を火葬後、元のお墓へ戻すとき
- 墓地(納骨堂)からご遺骨を自宅に移動するとき…さらにほかの墓地(納骨堂)に移す場合は、改葬許可が必要になります
3.遺骨が土に還る時間
地域によっては現在でも土葬がおこなわれているところもあります。確認してはいませんが,東京都,大阪府などが条例で土葬を禁止しているようです。それ以外の地域では現在でも土葬が可能です。
それでは,土葬にした遺体が骨を含めてすべて土に還るには,どのくらいの時間の経過が必要でしょうか。一説によると50年,また他の説によれば100年だとか言われます。遺体を埋めた深さ,その土壌の酸性度・水分含有量などによって,遺骨を含めて土に還る期間が大きく違ってくるようです。古い遺骨現存の例としては,弥生時代の人骨が青谷上寺地遺跡から大量に発掘されています。
私の近隣の墓において,次の遺体を埋めるために村の人が墓掘りをしていました。そのときに,前回に土葬にしたときに遺体とともに埋めて置いたお酒が「墓掘り人足」にご苦労賃として,振る舞われていました。そのことから推測するに,遺体がすべて土に還るのは,通常は一家において葬式が発生する間隔くらいの期間ではないかと推測されます。通常は20年から30年くらいではなかったのではないでしょうか。とはいえ,時々まだ土に還りきらなくて,遺骨が墓掘りの折に出てくることがありました。
結局,遺骨が土に還る時間の経過は,墓によってまちまちだと思われます。
この段落について,藤井司著「死体入門」(メディアファクトリー新書)を参考にしました。
4.まとめ
遺骨が土に還る時間は遺体を埋蔵した墓によって長短の差はありますが,改葬許可が必要がない場合も充分考えられます。火葬したあと骨壺に遺骨を収納していない場合には,遺骨が土中に残っているかどうかを検討してみる価値はありそうです。高額な「離壇料」などをお寺から要求されるようでしたら検討の価値はありそうです。
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神宮司公三 (木曜日, 31 12月 2020 16:46)
当事者はあまり気にしていないようです。
通りすがり (木曜日, 31 12月 2020 15:22)
土葬遺体とともに埋めてあったお酒を飲めるのはすごいと思いました。考えようなのでしょうが、私なら怖くて飲めないです。