1.兄弟姉妹間の全血,半血
(1)人種が違う男女の間に生まれる子
この区別は相続割合に影響を与えることはありません。
混血児やハーフと言われることもありますが,不快な気分にさせる表現だとして最近はあまり使われなくなっています。ハーフというのはhalf-bloodの略語だと思われます。日本人と外国人の間に生まれた子どもを指します。
(2)両親をともにする子,一方の親だけを一緒にする子
全血,半血という用語は法律用語ではないようですが,兄弟姉妹間の相続割合を説明するときに使われます。
①全血の兄弟姉妹
子1と子2ともに両親が父F1と母M1である兄弟姉妹を全血の兄弟姉妹間関係といいます。
②半血の兄弟姉妹
子1は父F1・母M1であり,子2の父F1・母M2,つまり子1と子2は父は同じですが,母が違うという兄弟姉妹を半血の兄弟姉妹間関係といいます。逆に母が同一で父が違う場合も同様に半血の兄弟姉妹間関係です。
2.全血・半血の兄弟姉妹間関係の相続割合
(1)半血の兄弟姉妹の相続分は全血の兄弟姉妹の半分
父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は,父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一です。(民法900条2項)
たとえば,
子1と子2は父母が同じ,子3は子1と子2と父は同じですが,母が子1と子2とは違う(異母兄弟姉妹)の場合。
独身であった子1がなくなり,子1の両親はすでになくなっているとき。
子3の相続分は子2の相続分の半分です。
相続財産を3000万円とすると,
死亡した子1と全血の兄弟関係にある子2は2000万円,死亡した子1と半血の兄弟関係にある子3は1000万円が相続できる財産です。
(2)嫡出子と非嫡出子の相続割合
嫡出子と非嫡出子の相続割合は相続割合は同一です。
平成25年の法律改正以前は,全血・半血の兄弟姉妹間と同じように,非嫡出子の相続分は嫡出子の半分とされていました。
全血・半血の兄弟姉妹間の格差について,法の下の平等に反するのではないかという指摘はないようです。
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3.ここまでのまとめ
長くなってしまいましたので,養子における全血・半血の兄弟姉妹間関係については次回とします。
兄弟姉妹の一人が亡くなり,その亡くなった人(被相続人)に子などの直系卑属,親などの直系尊属もない場合,
相続人となる兄弟姉妹の相続分は均等であるのが原則です。
ただし,被相続人と全血の兄弟姉妹関係にある兄弟姉妹の相続人は,半血の兄弟姉妹関係にある兄弟姉妹の相続人の半分となります。
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