1.審判の申立ての取下げの制限
(1)申立ての取下げに関する原則
原則として,審判があるまでは申立ての取下げは自由です。(家事事件手続法82条)
申立ての取下げは申立てがなかった状態にすることですから,原則的には自由のはずです。
(2)後見申立ての取下げの制限
以下の申立てについては,審判の前であっても家庭裁判所の許可がなければ取り下げることができません。(家事事件手続法121条)
公益的観点から取下げの自由を規制する必要があるためです。
①後見開始の申立て(同条1項)
②成年後見人が欠けたときの成年後見人選任の申立て(同条2項)
③成年後見人が辞任し,後見人を選任する必要があるときの成年後見人選任の申立て(同条3項)
2.後見制度に関する申立ての取下げの制限
(1)後見関係の申立ての取下げ
後見関係の審判申立ての取下げについての制限されるのは具体的には次の審判の申立てです。
(家事事件手続法121・133・142・180・221の各条)
①後見・保佐・補助の開始
②成年後見人等(後見人,保佐人,補助人)が欠けた場合の成年後見人等の選任
③成年後見人等の辞任によって成年後見人等がいなくなったなどの場合の成年後見人等の選任
④任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任
⑤未成年後見人の選任
(2)申立ての取下げの手続
上記の申立ての取下げをする場合は,取下げの理由を明らかにしなければなりません。
(家事事件手続規則78条1項,85・86・97・118の各条)
(3)後見人等候補者が選任されないと予想されるときの取り下げ
よく質問されますが,家庭裁判所が選任しようとする後見人等が申立人の意にそわない人物であっても,申立ての取下げはできません。
また,その選任について異議の申立てもできません。
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3.まとめ
成年後見人等が必要になる場合においては,いったん申し立てた申立てを申立人の都合で取り下げるには,審判前であっても裁判所の許可が必要となります。
一方,後見人等の辞任などの申立ては,審判の前であればいつでも取下げができると思われます。
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