前回,「
同じ戸籍に名があっても,親子または兄弟姉妹関係ではないこともあります。その関係は姻族関係です。
前回の生存配偶者と死亡配偶者である父の子だけになった戸籍の例について,この姻族関係を終了させる方法,戸籍を別にする方法について考えてみます。
1.姻族関係終了
(1)姻族関係の発生
姻族関係は婚姻(結婚)によって発生します。
姻族とは「配偶者Aの兄弟の妻」とか「他方配偶者Bの父母」などのように,「配偶者Aの血族の配偶者」及び「他方配偶者Bの血族」を言います。
(2)姻族の効果
結婚して姻族関係が発生しますと,それにともなう権利義務などが出てきます。以下に例を挙げます。
①同居の姻族の互助(民法730条)
②扶養義務(民法877条2項)
③直系姻族間の婚姻禁止(民法735条)
(3)姻族関係終了
ア 離婚の場合
姻族関係は離婚の場合は直ちに終了します。
イ 相手方配偶者死亡の場合
相手方配偶者が死亡した場合には,生存配偶者が届け出ることによって終了します。(民法728条2項,戸籍法96条)
姻族関係終了届は姻族関係が終了するだけで,戸籍の変動はありません。戸籍の異動を希望するときには,復氏の手続が必要になります。(民法751条1項,戸籍法95条)
姻族関係終了につきましては,次のブログを参考にしてください。
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2.子どもの新戸籍
分籍,その他の方法により新戸籍を作成しても,姻族関係は終了しません。姻族関係終了の届けは,生存配偶者だけしか提出できません。姻族関係を終了させることができるのは,生存配偶者のみということです。
(1)分籍
分籍とは,氏の変動を伴わずに、従前の戸籍から除籍して新戸籍を作ることです。
成年に達すれば分籍は自由にできます。
分籍がおこなわれますと,その子が戸籍の単独の筆頭者となります。
(戸籍法21条,100条)
(2)その他の方法
①その子が家裁の許可をもらい、実の母親の戸籍への「入籍届」を出す。(民法791条)
②その子が結婚して妻(夫)と新戸籍を作る。(民法750条,戸籍法16条)
③その子が子供を生み出生届または認知して子を入籍させる。(戸籍法17条)
3.まとめ
姻族関係のみの関係で同一戸籍になっている場合において,
①姻族関係を終了させることができるのは,生存配偶者のみであり,
②死亡した配偶者の子は分籍やその他の方法により新しい戸籍を作ることにより,父の生存配偶者と違う戸籍に入ることができます。
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