成年後見人と成年後見監督人との間の意思の疎通がうまくいかないという話しを聞きます。
今回は成年後見監督人の解任の申請について考えてみたいとおもいます。
1.成年後見監督人の職務
成年後見監督人の仕事はおもに成年後見人の仕事の監督をすることです。成年後見人が任務を怠ったり,不正行為を行わないように監督します。(民法851条)
具体的な成年後見監督人の仕事は次のようなものです。
①成年後見人による財産の調査,その目録の作成への立会(民法853条)
②いつでも,成年後見人に対して報告・財産目録の提出を求めたり,仕事や財産の状況を調査できます。(民法863条)
③成年後見人が被成年後見人に代わって重要な行為を行うときには,成年後見監督人の同意が必要です。(民法864条)
④成年後見人と被成年後見人との間の利害が反するときには,成年後見人に代わって被後見人を代理します。(民法851条4号)
⑤その他
成年後見監督人の職務からして成年後見人とは微妙な人間関係になりがちです。
なお,成年後見人の配偶者,直系血族,,兄弟姉妹は成年後見監督人にはなれません。(民法850条)
2.成年後見監督人の辞任
成年後見監督人にいったん就任すると自由に辞めることはできません。被後見人の保護が確保できなくなるからです。
辞任するには正当な事由がある場合にかぎり,家庭裁判所の許可を得て辞任することができます。(民法844条を準用)
老齢・疾病・事務負担過重などの後見監督人としての職務を行うに支障があるような場合などが考えられます。
3.成年後見監督人の解任(民法846条を準用)
解任するかどうか決定するのは家庭裁判所です。
解任を請求できる関係者以下のとおりです。
①成年後見監督人が複数いるときには他の成年後見監督人
②被後見人
③被後見人の親族
④検察官
なお,成年後見人には監督人の辞任請求権はないと考えられています。また,家庭裁判所は請求がなくとも,職権で解任することも可能です。
解任ができるのは,不正な行為・著しい不行跡その他成年後見監督人の任務に適さない理由があるときです。
3.まとめ
成年後見監督人監督人を辞めさせるにはその職務に適さないという事由が必要です。単に,気が合わないというような理由では成年後見監督人の辞任を請求することはできません。
成年後見人と成年後見監督人はその立場上から対立関係に類似した関係になります。そのため,両者の意思の疎通に齟齬が生じやすい面があります。
成年後見人が成年後見監督人を替えたいと希望しても,法律的には請求する方法がありません。また,辞任させるかさせないかの権限は家庭裁判所にあります。
(成年後見には成年監督人に対する辞任請求権はないと言う説の立場ー有力説ーにしたがいました)。
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