1.代襲相続が発生する原因
代襲相続というのは,本来の相続人に代わってその子がかわりにその相続分を受け取ることを言います。
相続放棄と代襲相続について以下のブログも参照してください。
代襲相続が発生する原因は下記三つの場合です。(民法887条2項)
(1)被相続人の子が相続の開始以前に死亡した場合
表題に掲げたケースでいえば,父が祖父の亡くなる前に死亡しているときということになります。
祖父と父が同時に死亡した場合も,相続の開始以前に亡くなった場合に含まれ,代襲相続が発生します。
同時死亡の推定がなされる場合も代襲相続が発生します(民法32条の2)。たとえば,祖父と父が同じ飛行機事故で亡くなった場合などに同時死亡の推定が働きます。
(2)被相続人の子が相続欠格によって相続権を喪失した場合
父が相続欠格の事由に該当するために相続権を失った場合には,代襲相続が発生します。
相続欠格の事由は次の五つです。(民法891条)
①被相続人・相続人の殺害など
②殺害事実の不告発など
③詐欺・強迫による遺言の妨害など
④詐欺・強迫による遺言をさせるなど
⑤遺言書の偽造など
(3)被相続人によって相続人が廃除により相続権を失った場合
祖父が,父による虐待・侮辱などを理由に父を祖父の相続関係から廃除した場合には,代襲相続が発生します。
相続人の廃除の事由は次のとおりです。(民法892条)
①被相続人に対す虐待・重大な侮辱
②推定相続人の著しい非行
(4)再代襲(民法887条3項)
父からの代襲相続人である孫が祖父の死亡前に死亡している場合には,孫の子である曾孫に代襲相続が発生します(再代襲)。
それ以降につきましても,同様に直系血族に代襲がおこなわれていきます(再々代襲など)。
(5)被相続人の兄弟姉妹が相続人の場合の代襲相続(民法889条2項)
被相続人の兄弟姉妹が相続人の場合の代襲相続は,被保険者の甥・姪までで,再代襲は発生しません。
兄弟姉妹における代襲相続発生事由は子における代襲相続と同様です。ただし,廃除による事由の適用はありません(兄弟姉妹に対する廃除と言うことがありえないため)。
2.まとめ
借金まみれの祖父の相続を父が放棄した場合,孫は父の代襲相続人とはなりません。
なぜなら,(1)被相続人の子が相続の開始以前に死亡した場合,(2)被相続人の子が相続欠格によって相続権を喪失した場合,(3)被相続人によって相続人が廃除により相続権を失った場合のいずれの場合にも当たらないからです。
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