1.火葬率
(1)火葬率の変遷
下記のように日本の火葬率は明治29年の27%から推移して,現在はほぼ100%に達しています。
1896年(明治29年) 26.8%
1955年(昭和30年) 54.0%
1980年(昭和55年) 90%
1984年(昭和59年) 94%
2005年(平成17年) 99.8%
2013年(平成25年) 99.9%
出典:
(2)アメリカの火葬率
アメリカの火葬率は日本よりも低く,北米火葬協会による以下のような統計が残っています。
1996年(平成8年)21.37%
1997年(平成9年)23.59%
2010年(平成22年)には火葬率が33%を超えると予測
出典:
アメリカの映画などから受けるイメージでは,棺を土中に埋める土葬が主流のような印象ですが,そうとも言えないようです。
(3)世界の火葬事情
火葬が世界の主流というわけではなく,その国の宗教,死生観などによって火葬を嫌い,土葬を好む国もあるようです。イスラム教徒は土葬であるという話しも聞きます。はっきりした統計数値は見あたりませんでしたが,それぞれ違うというのは想像に難くありません。
死体を火で焼くという行為は死者にむち打つと感じる人がいたとしても不思議ではありません。黒焦げになった遺体にすがりつき,「こんな姿になって,熱かっただろう」と問いかける女性の姿が目に浮かびます。
2.土葬は禁止されているのか
(1)墓地、埋葬等に関する法律
埋葬に関する法律として「墓地、埋葬等に関する法律」があります。
その法律を見ますと土葬を禁じる規定はありません。むしろ土葬を原則とするとも読むことができます。(墓地、埋葬等に関する法律2条1項など)
私が幼少の頃には,土葬が村の葬式の中心でした。
(2)感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律
感染症に汚染された死体は原則として火葬をしなければならないと,「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(30条2項)に定められています。
1897年(明治30年)に「伝染病予防法」が制定されました。現在の「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」に当たる法律です。「伝染病(感染症)による死者は火葬にすべきこ とが初めて自治体に義務付けられ、自治体による火葬場施設の設置と管理が積極的に進められた。」ことが,現在の火葬の隆盛につながったようです。(
日本火葬技術管理士会)(3)墓地・霊園などの埋葬施設の利用規程
遺体を埋葬するできる場所は墓地として都道府県知事の許可を受けた場所でしかできません。(墓地、埋葬等に関する法律2条4,5,6項)
したがって,土葬をさせてくれる墓地・霊園でなければ埋葬できないことになります。
土葬を許可している施設はほとんどないといわれています。ちなみに,事務所のある山梨県甲府市の市立公園墓地においては,甲府市墓地条例により「焼骨の埋蔵又は収蔵以外の目的に使用することはできない」(6条の3,規則15条1項)と明示されています。
参照:
3.まとめ
感染症の患者の遺体でない限り,遺体の土葬は現在法律では禁じられていません。しかし,埋葬施設の利用規程などにより現実的に土葬を引き受けてくれる埋葬施設がほとんどありません。
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