前回,個別の財産について恣意的に相続したり放棄したりはできないと言いました。まるで方法がないのか,今回はこのことについて考えてみます。
前回ブログ:
「 」
1.相続と相続の放棄(民法896条,920条)
相続とは包括的に被相続人の地位を承継します。したがって,個別の財産や債務について承認や放棄を選択することはできません。
これは欲しいがこれはいらないという形での相続はできず,相続するなら一切合切相続し,相続放棄をするならすべて放棄をしなさいということになります。
2.特定遺贈(民法964条)
被相続人が特定の財産を指定して特定の人に遺言で財産を贈与することができます。これを特定遺贈と呼んでいます。
「私が死んだらこの宝石を君にあげる」と遺言することになります。
特定遺贈ができる相手は相続欠格事由に当たらない人になら誰にでも遺言で贈与ができます。法定相続人でもかまいません。(民法965条)
注:法定相続人の場合の遺言では通常は「相続させる」と遺言書に書きますが,遺贈をおこないたいときは「遺贈する」と遺言書に書く必要があります
3.受贈と相続放棄の併立
遺贈と相続放棄は別の制度ですので併立は可能です。遺贈を受けた人が相続を放棄することは問題ありません。
(相続放棄におけるモラルの問題,相続放棄後の財産管理の問題については次回とします。)
4.まとめ
遺言書を書いてもらうことによって,自分が欲しい財産だけを選別して相続することが理論上可能となります。
したがって,不動産以外の相続財産だけを相続することは可能だと言えます。
055-251-3962 090-2164-7028
困り事や相続・遺言のご相談,許認可のお問い合わせは