1.農地転用における許可
農地として使用している土地を農地以外の用途に変更する場合には、都道府県知事等の許可が原則必要になります。(農地法4条、5条)
許可をえないで農地の用途を変更することは、農地法違反となります。また、用途の変更を目的とした許可をえないでした契約は無効となります。(農地法3条7項を5条3項が準用)
ここでいう許可は行政法学上の認可のことで、当事者間の法律行為(ここでは契約)の効力を完成させる行為のことです。
2.農地の現況主義
(1)農地
耕作の目的に供される土地をいいます。(農地法2条1項)
耕作の目的で使用する土地には、現在耕作されていない休耕地や不耕作地も含まれます。耕作しようと思えば、耕運機等を使い直ちに耕作が可能となるような土地は農地だと判断されます。
土地の現状を基準として農地と非農地とを区別しているわけです。
(2)人為的な非農地化
非農地化には人為的なものと非人為的なものとが考えられます。
①非人為的な非農地化
非人為的なものの代表例は自然災害です。災害により耕作に適さない土地になってしまうことがあります。
②人為的な非農地化
人為的なものとしては、耕作の放棄や許可をえないでする転用があります。
この場合にその土地が非農地化してすでに農地ではないかどうかが問題となります。
3.人為的に非農地化した農地の取扱い
(1)刑事罰(農地法64条)
3年以下の懲役叉は300万円以下の罰金。
公訴時効は3年です。(刑事訴訟法250条2項6号)
(2)行政処分(農地法51条1項)
原状回復命令などの行政処分を受けることがあります。
とはいえ、「特に必要がある認めるときは、その必要の限度において…原状回復…を命ずることができる」とし、行政処分の限界を規定しています。
(3)追認転用許可
行政指導により違反者に転用許可申請をさせることによって、事後的に許可して違法状態を解消します。実務上しばしば行われています。 ただ、この追認転用許可は農振地域においては困難です。
4.まとめ
農地として利用している土地を農地以外の用途に転用する場合には、都道府県知事の許可が必要になります。無許可で転用した場合には刑事罰や行政処分を受けるおそれがあります。また、地目変更登記において非農地証明の交付を受けることができない事態も考えられます。
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