遺留分制度につきましては以前このブログでも取り扱っています。詳細につきましてはそちらを参考にしてください。
1.遺留分の額を算定する元になる相続財産の計算方式の改定
(1)遺留分を算定するための財産の価額の計算方法(民法1043条1項)
遺留分を算定するための財産の価額=①+②+③-④
①被相続人が相続開始の時において有した財産の価額(遺贈を含む)
②第三者に対する生前贈与の価額
③相続人に対する生前の贈与の価額
④被相続人の債務の全額
(2)算定法の改正点(民法1044条)
相続人と相続人以外の第三者とを区別して、被相続人からの生前の贈与の範囲を相続人は10年以内、第三者は1年以内と限定しました。詳細は次のとおりです。
②相続人以外の第三者に対する生前の贈与は旧来と同様に相続開始前1年以内にした者に限定されています。
③相続人に対する生前の贈与については旧来は期間の限定はありませんでした(最高裁判決平成10年3月24日)。今回の改正により相続開始前10年以内に限定されることになりました。
ここで言う生前の贈与とは、婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本として受けた贈与のことを言います。
なお念のため付け加えると、特別受益の取扱いは10年以内という限定が付されていませんので被相続人から受けた特別受益に当たる生前贈与が対象となっています。(民法903条)
2.遺留分減殺請求権を遺留分侵害請求権に改正(民法1046条)
遺留分の請求は金銭の請求になりました。
改正前の遺留分減殺請求権は物権的効果を持っていました(最高裁判決昭和51年8月30日)。たとえば、土地が生前贈与された場合に遺留分減殺請求がされたときには、土地の贈与を受けた者の所有権は当然にその請求の限度で請求者に帰属しました。
このようなことから当然に共有関係となった特定物の取扱いが新しい問題を発生させることがありました。
改正後においては物権的効果を持たない「遺留分侵害額の請求」という金銭請求権(債権)にその姿を変えました。
3.まとめ
遺留分の請求の法的性格が物権的効果を持たない金銭請求権となり、遺留分侵害額の計算において相続人の特別受益の算入は被相続人の死亡前10年間に限定されました。
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