1.民法の成人年齢の引き下げ
2022年(令和4年)4月1日から成年年齢が18歳となりました。(民法4条)
これまでは20歳から大人扱いであったのが、18歳から大人扱いとなったわけです。
年齢計算は少し特殊で誕生日になると1歳年齢が上がります。(年齢計算ニ関スル法律)
普通「誕生日おめでとう、今日から1歳年齢が上がるんだね」と言いますが、この法律によれば4月1日に生まれた人は翌年の4月1日にはすでに2歳になっていることになります。
注意をしたいのは18歳からの大人扱いは民法という法律の世界においてだけの話であると言うことです。
さらに細かく言えば民法の世界においても20歳になるまで大人扱いをお預けということもあります。
たとえば養子を迎えることは18歳の成人となってもできません。改正前と同様に20歳にならなければ養親となることはできません。(民法792条)
2.民法以外の法律の世界での大人とは
従来の大人扱いは原則的にどの法律の世界においても20歳と共通していました。それからすると少々煩雑です。
(1)飲酒・喫煙の世界での大人とは
酒、煙草は以前と変わらず20歳になってからです。
飲酒や喫煙は「未成年飲酒禁止法」、「未成年喫煙法」の世界の話だからです。
飲酒・喫煙が大人のすることなのかはさておいて、自分の責任でそれを行えるのが大人の証だとすれば飲酒・喫煙の世界ではいまだ子供扱いだということもできるかも知れません。
(2)刑法の世界の大人とは
少年法の世界でも完全な大人扱いは20歳になってからです。
18歳と19歳は半大人扱いで、特定少年に該当すると大人に準じた扱いになるようです。
3.民法の成人年齢引き下げにともなう影響
(1)契約等の法律行為
自分一人の判断で行動できることになりますが、大人の証である責任は大きくなります。
大人として、成年として行った契約はその約束を果たす義務が生じます。未成年であれば子供のしたことだからと甘えて取り消すこともできるのですが、大人となればそういう甘えは許されません。(民法5条2項)
いったん契約したものを取り消すことは原則できなくなります。契約の約束を果たすことができなければ履行の強制や債務不履行による損害賠償の対象となりえます。(民法414条、415条)
(2)結婚可能年齢
結婚の大人扱いのルールも今回変わります。
男も女も結婚可能年齢が18歳に統一されました。
今回の改正により未成年者の婚姻ということがありえませんので婚姻の親の同意の規定はなくなりました。
注:女性の婚姻可能年齢が非16歳から18歳に引き上げれれていますので経過措置が設けられています。
令和4年4月1日に16歳から17歳である女性は18歳を待たずに結婚することができます。(民法附則3条2項)
令和4年4月2日に16歳になる女性の結婚可能年齢は本則どおり18歳になってからということになります。
4.まとめ
民法の世界で成人の年齢が18歳に引き下げられ、若い人の行動の自由度が増加しました。それにともない責任も増加することになりますので、以前にも増して慎重な行動が求められます。
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